森の声。それはきっと、誰もの心の中に流れる清らかな川の、せせらぎの 音に似ている。 その川は、ぼくたち一人ひとりの小さな流れをつなぎながらやがて天空の 大河にそそがれ、 いつかぼくたちは宇宙と合流する。 輝く愛に満たされて。 それは見えない雨に姿を変え、この世に存在するすべてのいのちに、 いつまでも枯れない花をきっと咲かせてくれるんだ。 だから、ぼくたちはいつも満天の星空の下で、その星のまたたきを見上げ ながら、なぜだかとても切なくて、やさしい気持ちになるんだと思う。 ね、そんなふうに誰もがいたわりあって、慈しみあって、きれいな心で 結ばれるなら、何もこわくないよ。 けれど――― 生きていくって、辛いことや悲しみがたくさんありすぎて、そのたびに投げ 入れた小石が心の川にどんどん重なってしまう。堰き止められた流れは 濁った水になって、人の心の中に黒い染みを広げていく。まるで暗闇に 放り出されたように、気づかないうちに大切なことが見えなくなってしまう んだ。 それは、何よりも、本当は哀しいことだから、ささやくようなせせらぎの、 その音が途切れることなく聞こえるように、ぼくたちは心の川をつなごう。 哀しみを愛に変えて、誰かが投げた小石をきらめく宇宙の星屑に変えて。 ぼくたちはみんなつながっているから。 響きあえる心を、きっともっているから―――。 |
1998年2月15日(日)上演
史都多賀城・市民創作ミュージカルVol.1 VOICEー家持、再びの歌ー より
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